ディスレクシアとトム・クルーズと
       小泉首相

 

 息子がディスレクシアだと解ってからも、私はまだ息子との付き合い方や、
勉強の教え方がよくわかりません。

色々な本を読んだり、ネットで検索したり、毎日が試行錯誤の繰り返しです。
ここではそんな中、興味を引いた記事を転載させて頂きたいと思います。

■ 清水建宇の『異見あり』「トム・クルーズが小泉首相に渡した本」 
  コメンテーター・清水建宇

 テレビ朝日ニュースステーションのメールマガジン『NSブーメラン』に、朝日新聞編集委員、
清水建宇氏による、トムクルーズが、小泉首相に渡した、「学び方がわかる本」についての
記事が載りました。

  下記に転載します。

 いささか旧聞に属しますが、自民党総裁選さなかの8月28日、
ハリウッドスターのトム・クルーズが首相官邸を訪れ、小泉首相に会いました。
新聞もテレビも(もちろんニュースステーションも)談笑する二人を報じました。
小泉首相は「『トップガン』も『レインマン』もいい演技だね」と語りかけ、
最後はプレスリーの曲を一緒に歌ったのだそうです。
 翌週の週刊誌も、この話題に飛びつきましたが、「小泉パフォーマンスのために、
トム・クルーズに官房機密費を払って呼び寄せたのではないか」(週刊新潮)などと
想像をたくましくする記事がほとんどでした。
  

 しかし、多くのメディアが無視しましたが、トム・クルーズはこの日、
1冊の本を手渡すために首相官邸を訪れたのです。
それは、
L・ロン・ハバード著『学び方がわかる本』の日本語訳
(ニュー・エラ・パブリケーションズ発行)
で、
学習障害を克服するためのテキストです。
官邸訪問を仲介した人に直接聞いたのですが、トム・クルーズ自身、子どものころから
学習障害に苦しみ、この本に出会って立ち直ることができたため、日本語訳ができたと
聞いて、ぜひ日本の総理大臣に手渡したいと考えたのでした。
 学習障害は、近年、教育現場で注目されている子どもの障害で、
知能は高いのにうまく覚えられなかったり、勉強でつまずく現象をいいます。
 典型的なのが「読み書き困難」で、欧米ではディスレクシア(失読症)と呼ばれています。
bとdの区別がつけにくい、「い」と「こ」を混同する、九九の一部の段だけ覚えられない、
など、さまざまな症状があります。
 トム・クルーズも1冊の本を集中して読むことができず、
5、6冊を同時に読むような習慣から長い間抜け出せなかったといいます。
 欧米では1960年代から研究され、ディスレクシアの出現率が10%以上にのぼることが
わかりました。
治療や指導の方法が確立され、支援の態勢も整えられました。
 しかし、日本ではそういう障害が存在することさえ、教育現場でなかなか認識されず、
「怠けている」と叱られたり、いじめられたりして、子どもが追い込まれるのが常でした。
 
日本で、ディスレクシアの子を持つ親の組織がつくられ、
医科大学に学習障害センターが生まれたのは、つい2年前のことです。

 
だから、トム・クルーズが小泉首相手に渡した本には、
学習障害に苦しむ大勢の子どもと親の願いが込められていたのです。

 なのに、小泉首相の話は「トップガン」と「プレスリー」で終わってしまいました。 
トム・クルーズは本を渡す相手を間違えたのだと、私は思います。
前にもこのコラムで書きましたが、小泉首相は旧大蔵省が手塩にかけて育てた
「大蔵族」議員であって、大蔵省(現在の財務省)の言うことしか理解できません。
道路公団改革も郵政民営化も、よくよく見れば財務省の年来の主張に沿ったものです。
教育問題などは眼中になく、文部科学省に丸投げでした。
いやいや、小泉さんは総理に就任するや「米百俵」の故事をしきりに言ったではないか、
という読者もおられるでしょう。
 幕末の戦乱で疲弊した越後長岡藩に近隣諸藩から支援米が送られたとき、小林虎三郎という人物の意見で、その米を将来の人材を育成するために教育資金にした、という話です。
 私も、ひょっとしたら小泉首相は財政危機のなかでも教育予算を増やす画期的な政策を
掲げるのではないか、と期待しました。しかし、そうはなりませんでした。
 結局、「支援米をすぐ食べてはいけない」という部分を強調して、
「改革の痛み」を訴えたかっただけではないかと疑わざるをえません。
総裁選は終わり、いまや政権選択の総選挙モード。
「国の将来は人材育成にかかっている」という米百俵の精神は、今こそ大切です。
教育を重視する政策を掲げるのはどこなのか、
有権者はマニフェストや公約に目を凝らすべきだと思います。(了)

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   ◎清水建宇(しみず たてお)プロフィール
     札幌市生まれ。朝日新聞編集委員。
     1971年に朝日新聞社へ入社し、警視庁、宮内庁などを担当し、
     警視庁キャップ、社会部次長、
     「週刊朝日」副編集長、月刊オピニオン誌「論座」編集長などを歴任。
     好きなものは映画、推理小説、クルマ。

 私はあまりテレビを見ないので、つい最近までトム・クルーズがディスレクシアだったのも、
来日したのも、小泉首相と会談を行ったのも知りませんでした。
しかも、トム・クルーズが、1冊の本を手渡すために首相官邸を訪れたとは全く知りませんでした。 
 早速私も、L・ロン・ハバード著『学び方がわかる本』をネットで購入しました。
まだ届いてはいませんが、じっくり読みたいと思います。

トム・クルーズ(Tom Cruise, 1962年7月3日 - )

トム・クルーズはアメリカ合衆国の俳優、映画プロデューサー。
本名は Thomas Cruise Mapother IV。ニューヨーク州出身。
7月4日に生まれて』、『マグノリア』で2度アカデミー賞にノミネートされたこともあるが、
受賞は逃している。
 逆に彼と一緒に映画に関わるととアカデミー賞への最短の近道というジンクスも
ハリウッドにはある。
彼は、ミミ・ロジャース、ニコール・キッドマンと2度結婚生活を経験しているが、
いずれも破綻した。

彼は学習障害(LD、具体的には、書字障害(Dyslexia:ディスレクシア):文字を書く上での
障害)があり、彼自身、障害者にかかわる映画(『レインマン』)や、自分の障害を
理解してもらうための映画も製作主演している(『デイズ・オブ・サンダー』)。
新興宗教であるサイエントロジーの活動(勉強の技術の実践)により学習障害を
克服したと語っている。

アイルランド系移民の子孫。父親トーマスはなかなかひとつの仕事に長く留まっていられない
タイプで、アメリカ中を職換えのため転々とした。
このためトム・クルーズは転校ばかりとなり幼少期の精神に影響があったといわれる。
12歳のときに両親が離婚したため経済的に苦しい生活を送る。
学生時代はスポーツに熱中するが挫折し、その後演劇に関心を持つようになった。
1992年、ポーラ・ワグナーとともにパラマウント映画内に
「クルーズ/ワグナー・プロダクション」を設立し、
1996年の映画『ミッションインポッシブル』で初めて映画プロデューサー業に挑戦した。
2004年、映画のプロモーションのため来日し、
西武ドームで行われた日本シリーズ・西武ライオンズ対中日ドラゴンズ戦の始球式を
つとめた。

 トム・クルーズがディスレクシアだと教えて下さったのは、言語科の先生でした。
あの世界的な大俳優が? という思いと、例えディスレクシアだとしても、
その子に合った将来があるんだなという大きな希望を持たせて下さいました。
 そして親として、息子に何が合っているんだろう、どうすればいいんだろう、
という責任感の大きさを改めて感じました。

「学習障害について」魚沼病院小児科 西澤和倫

 学習障害(LD)とは、基本的には、全般的な知的発達に遅れはないが、聞く、話す、読む、
計算する、推論するなどの特定の能力の習得に著しい困難を示す、様々の障害を指すもの
です。
 学習障害とは部分的な能力の発達の遅れである、といえます。
アインシュタインやエジソンもLDだったといわれています。


 アメリカでは学齢期の子供たちの5%強がLDのために特殊教育を受けていますし、
LDの総数は10%以上に及ぶといわれています。

 知的能力に問題がなく、目や耳の機能も正常なのに、文字を読んだり、
書いたりする能力に問題がある子供たちがいます。
学習障害のひとつの型である失読症(ディスレクシア)です。
 俳優のトム・クルーズは自分自身が失読症であることを公表しています。
トム・クルーズは学校の頃、bとd、pとqの区別ができませんでした。
また、行を飛ばすなどして教科書をうまく読むこともできませんでした。
そして
高校までLDのための特別学級に入っていました。
友達からいじめにあったこともあるそうです。
「ほかの友達のように本がすらすら読めたり、集中力があったらどんなにいいだろう」と、
いつも思っていたとトムはいいます。


 彼は、得意だったスポーツには何でも挑戦し、自分の弱点を補うための集中力も
鍛えました。
俳優の試験に合格してからは、せりふをゆっくり読んで覚えながらじっと考え役のイメージを
膨らませるようにしました。弱点を逆に長所にしようと、他の人とは違った工夫をしたのです。
 人間の能力は多面的です。ある一面の能力が劣っていても他にすばらしい能力が
秘められていることがよくあるのです。
 必要なことはどうすれば個々の能力を最大限に伸ばせるかです。
そのためにはどのような環境が最も好ましいかを周囲の人間は考えていかなければ
ならないと思います。
 未来のトム・クルーズたちにとって、今どんなことが必要かを考えてください。

 日本には特殊学級はあっても(ここ数年のうちにそれも廃止すると聞いたこともあります)
LD児のための特別学級はありません。
息子も知能指数は平均だということで、1年生の時に特殊学級への編入を断られました。
 しかし、何らかの障害がある限り、普通学級の中では周りの子どもたちと同じスピードでは
ついて行けません。
 幸い息子は友達も大勢いますし、イジメに遭ったという事もありませんが、勉強の遅れは
一目瞭然で、息子もその事を自覚し、
『自分はできないから』劣等感も持っています。
 息子の学校では個別支援を設けて下さり、週に数回息子もお世話になっていますが、
テストなど問題を読む時点で躓いてしまう息子は成績表に評価もつかない状態です。
 少子化の今、教育予算を削るのではなく、子どもの個性を発揮できる学校作り
考えて欲しいと思います。

ウェストチェスターで無料ディスレクシアセミナー開催

ニューヨーク在住会員の「いくらほい」さんこと内藤雅有さんが学習障害に関する
セミナーを開きます。

  本がはやくよめない

  ぬとねがわからない

  ぼくはどうしてみんなとおなじようにべんきょうができないの?

  なぜみんなにできることがわたしにはできないの?

LD=Learning Dyslexia=ラーニングディスレクシア=学習障害=発達性読字障害=
読み書き障害はアメリカでは全学童の10〜15%以上に見られる、とも言われています。

ディスレクシアであることを早く認識し、弱い部分を補い、強い部分を伸ばすことによって、
その影響を最小限に抑えるだけでなく、その子の強い部分を大きく育てる可能性が
高まります。
ディスレクシアの有名人:エジソン、アインシュタイン、トムクルーズ、黒柳徹子、・・・・・・


ディスレクシアの子供は普通の子供の10倍以上の時間をかけて1語を理解している。
(ハーバード・スタンフォードの研究チームによる)

ウェストチェスターでの無料ディスレクシアセミナーディスレクシア・学習障害の
正しい認識の普及と認定・
教育的支援を行う民間団体NPO・DGEの藤堂さんを交えての
セミナー・パネルディスカッションを行います。
主なテーマは体験談を交えたディスレクシア支援の日米英比較。  

内藤さんからのメッセージ

 一般のみなさんには、あまり関心ない分野かもしれませんが、全人口の10%以上を
占めると言われている学習障害の一分野ディスレクシアが多くの不登校の原因と考えられています。
 英米での制度の充実(日本と比べて)を在米の日本人に知っていただき、
今まで気づかなかったお子さんの症状を振り返ってもらい、日本に帰ってから不登校や
落ちこぼれ欝への道を辿らないようにしていただいたり、日本で認知度を深めるために
活動していただくためのセミナーです。

 ディスレクシアの子供は普通の子供の10倍以上の時間をかけて1語を理解している。
という研究結果に驚きました。
 そして、どうやって息子に文字を覚えさせよう、どうやって教えていけば息子にとって
解りやすいんだろう。と、悩んでしまいました。

 10倍以上の時間をかけて…

それは親にとっても同様で、普通の親の10倍以上の根気と努力を要する
ということだと思います。
 息子と共にこの長い時間を乗り越えて行けるかどうか、
いえ、乗り越えて行かなければならないのです。
それには是非日本でも早くディスレクシアの認知と、
支援の道が開かれることが必要となってきます。
一日でも早く、そういった子どもたちの為にも
学校教育の見直しを切に望む思いが増しました。

『理研脳科学総合研究センター−オックスフォード神戸セミナー合同国際シンポジウム
日本語、中国語および英語におけるディスレクシア』

の開催趣旨に次のような内容が書かれていました。

開催趣旨と目的

 英国および米国では、英語を話す人の5−10%が、少なくととも普通の一般的な
知性を持っているにもかかわらず、読みの学習に予想外の困難をかかえていると一般に
認識され、発達性ディスレクシアとして知られています。
これは個人にとっては精神的な苦痛、家族にとっては悲嘆のもととなっています。
 しかし、ディスレクシアは日本語や中国語でははるかに少ないという説があり、
それはこれらの言語が表語文字を使っていて、英語の特徴である、アルファベットや音索を
ベースとした書記法や不規則な綴りの複雑さ(yotをyachtと綴るなど)がないからだと
いわれています。

 実際、英語ではディスレクシアであるが日本語ではそうでない人や日本語の表音書記法で
ある仮名ではディスレクシアであるが、表語文字である漢字ではそうではない例も見出されて
います。

 しかし、最近の遺伝子学、神経病理学、生理学、脳イメージ学などの研究によれば、
発達性ディスレクシアは、基本的な脳機能である聴覚、視覚、運動神経の発達に障害が
あるのが原因とされています。

 日本でも英国でも脳機能は共通だと考えれば、ディスレクシアは日本でははるかに少ない
という仮説を見直し、日本でディスレクシアが実際にどの程度広がりがあるのかを調べる研究を企画する必要があるでしょう。

 また脳の違いが異なった形の現れ方をしているという可能性も検討する必要が
あるかも知れません。
 今回、理研脳科学総合研究センターとオックスフォード神戸セミナーが合同で開催する
国際シンポジウムではヨーロッパ言語におけるディスレクシアを生物学的あるいは心理学的に研究している専門家を招き、ディスレクシアに関心のある日本の研究者とともに、
発表・議論し、知識を共有することを目的としています。
 また同時に、影響力のある政策立案者や教育者にたいし、ディスレクシアへの理解と関心を喚起すること、さらに最近のディスレクシアに関する知見を日本の社会の中に広めることも
目標としています。
 
今回のシンポジウムにより、日本でディスレクシアについて、世論の関心が高まり、
今後この分野のシンポジウムがシリーズで開催されることを期待しています。

 近年ADHD、高機能自閉症、LDなどは、テレビなどでも取り上げられ、
一般の人たちにも知られるようになってきました。
しかし、ディスレクシアは上記のように日本では馴染みの薄い、又は少ないと思われ、
その認知も支援もはるかに遅れをとっている感じがします。

 私自身も認識力はありませんでしたし、関係書物も少ないです。
その中でこれからどうやって息子と関わっていくのかはまだ手探り状態です。
 しかし障害である以上、福祉の手が必要となってきます。
そして、周囲の理解、協力も必要不可欠なのです。
 
どうか一日でも早く、その日が訪れる事を心から祈ります。