また、下記の様な要望書を首相官邸宛てに出しました。



小泉首相官邸/意見・嘆願文章

 初めてメールをさせて頂きます。
●●に住む37歳の女性で、現在小学校1年生の男の子と6年生の女の子を育てています。

 息子は昨年4月に「注意欠陥多動性障害/ADHD」の診断を受けております。
この名称は近年日本では知られてきましたが、その対応は未だ遅れをとっています。
ADHDは軽度の発達障害で、その差は個人差が伴い、また、目に見える「障害」ではありません。
しかしながら、その成長には多くの手を必要としております。

 現在息子は地元の公立小学校に通い、普通級に在籍しておりますが、
入学以来、数々の問題を起こしています。
立ち歩き、授業妨害、他の児童へのちょっかい等で、
クラスの父母達からも不安の声が上がっております。
私は3箇所の専門病院に通い、また養護教育総合センター等で相談を重ねて参りました。
しかしながら、ADHDの成長は通常の子供と比べると明かに発達速度が遅く、
また、その成長には多くの助けが必要になります。

 何度注意しても問題行為を起こす息子に養護学校への転校、特殊クラスへの移籍を
お願いしましたが、文部省の方針とのことで、実現しませんでした。
何故目に見える「障害」については保護があるのに、
目に見えない「障害」については何の措置もないのでしょうか。
小子化が進み、学校が閉鎖されながらも何故こういった子供達の落ち着く学校は
ないのでしょうか?

 今日も学校へ行き、学校長とお話をしました。「情緒障害児学級」と「専門補助教員」をと
今までに何度もお願いしてきましたが、必ず「予算が…」と言うことで終わってしまいます。
小学校・中学校が義務教育である以上、どの子供も、等しく教育を受ける権利があると思います。
また、周りの父母達もそれを願っていると思います。発達障害は前述した通り、
目に見えない「障害」であります。
それ故に当事者以外の方達には理解されにくい「障害」とも言えると思います。

 子供の教育は親の責任。子供が多動なのは親の責任と言われ続け、
また多動児は問題児と誤解されることも多くあります。
 しかしアメリカでは当たり前のように多動児の存在が明らかであり、
それと共に多動児に対する福祉も充実しています。
 何故日本は言葉ばかりが一人歩きをしてしまうのでしょうか。
何故、福祉の手は中々差し伸べられないのでしょうか。
「障害」であることが明かな以上、何らかの措置が必要なのではないのでしょうか。

 首相にお願いします。教育予算を下さい。教育制度の明確化を図って下さい。
私は今日まで出きる限りのことをしてきたつもりですが、教育の組織はあまりにも不透明で、
どこにお願いをすればいいのか、親に出来る事はもっとないのかと手探りの毎日でした。
また、予算がないからと「障害」を放置されるのは義務教育でありながら無責任だと思います。
親に出来ることは何でもします。どんな些細な事でもしたいのです。

 文部省、●●市長にも嘆願していますが、未だお返事は頂けません。
教育予算に関する事は国家だと、今日校長先生からお話しを伺いましたので
首相にお願いします。
教育予算を下さい。
 現場で「障害」に携わり、苦労を重ねている先生方の話しを聞いて下さい。
多動児と関わる普通児童の親たちの不安の声を聞いて下さい。

 そうして何より毎日を祈る気持ちで過ごしている目に見えない「障害」を持った
子供達の親の声を聞いて下さい。
子供達を安心して育てられる環境を与えて下さい。
 子供は毎日成長していきます。
普通級で普通児童に混じって劣等感を募らせながらも成長していきます。
どうか目に見えない「障害」に福祉の光を当ててください。
 教育方法の再考と早急の実現を心よりお願い申し上げます。


                                                平成15年2月10日


 そして、平成15年2月に私の手元に下記のような回答が来ましたが、
その内容は型にはめられたような文章で、私はとても悲しく思いました。



 小泉総理大臣あてにメールをお送りいただきありがとうございました。
いただいたご意見等は、今後の政策立案や執務上の参考とさせていただきます。
 皆様から非常にたくさんのメールをいただいておりますが、内観官房の職員がご意見等を整理し、
総理大臣に報告します。あわせて圧生労働省、文部科学省へも送付します。
 今後とも、メールを送信される場合は官邸ホームページの「ご意見募集」からお願いします。



                                          内閣官房 官邸メール担当